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3期生初舞台「3人のプリンシパル」を終えて。そして乃木坂46の未来。

アイドルとヲタクの関係について、ヲタクが出来ることといえばアイドルが自ら成長する姿を傍観することぐらいだろうと最近よく考える。

だから一人の傍観者として、彼女たちの記録を残しておきたいと思い、こうしてブログを書いている。

 

3人のプリンシパル

2017年2月2日から2月12日までの11日間、全15公演にわたって、乃木坂46の3期研究生による初舞台「3人のプリンシパル」がAiiA Theater Tokyoで開催された。

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乃木坂46では2012年、2013年、2014年と「16人のプリンシパル」という舞台が、毎年の恒例行事となっていた。公演ごとに毎回公開オーディションを行い、その日の観客の審査・投票で出演者が決まるというシステムが大きな特徴で、そこで乃木坂46は数々のドラマを生み出してきた。ここではメンバー同士が切磋琢磨するライバルであり、また同時に大切な仲間でもあることを感じ、グループとしての絆を強くした思い出深いイベントであると皆口を揃えて語る。

 

ただアイドルグループにおいて公正なオーディションを成立させることは難しく、さらには毎日配役が変わることで演劇としてのクオリティが十分高められないことが問題とされてきた。そこで乃木坂46ではプロを通したオーディションでしっかりと役を競い、1つの舞台を完成させる方向にシフトし、「すべての犬は天国へ行く」「じょしらく」「墓場、女子高生」と次々に舞台を成功させ、アイドルグループの演劇集団というステージで一歩先へと進んだ。

 

今回は3期生のみの12人で3つの椅子をかけて競い合う「3人のプリンシパル」として、約2年半ぶりのリバイバル公演となった。リバイバルとは言うものの、演目はこれまでとは一線を画した題材「銀河鉄道の夜」をモチーフとし、そしてオーディション審査は新たな形式で行われることとなり、全く新しい舞台として生まれ変わったのである。

演劇というレベルで乃木坂46が16人のプリンシパルに取り組むことからは遠ざかっていたものの、今回はアイドルになったばかりで右も左も分からない3期生という新人に、プリンシパルを通して観客の前で自分をアピールすることを学ばせるという意味で逆に大成功であったといえる。

 

第一幕・オーディション

まず第一幕のオーディションは、ダンス審査・自己PR・エチュード・演技審査と進み、幕間にも寸劇や歌といった余興が挟まれる。

ベースは自己PRと寸劇を合わせた2012年無印プリンシパルであるが、立候補した役ごとに演技審査をするのは2013年プリンシパル duex 形式であり、また、エチュードとしてお題に合わせた即興コメディを披露するのは2014年プリンシパル trois の審査からアレンジされたものである。それぞれのハイブリッドとなっている点がこの3人のプリンシパルの大きな特徴ではないかと自分は考えていて、乃木坂46の活動を一気に追体験させる意味があったように思う。

16人のプリンシパルとは違い、このたった3人のコーラスラインを越えられなかったメンバーたちには名前も顔も分からない一瞬の出番しかなく、その分メンバーたちの必死さも並々ならぬものがあった。

 

3期生の自己PRを見ていると、乃木坂46の1期生にあったような(主にミスプリンシパルの生田を指しているが)世間でも突出した能力で勝負しているわけではない、ごくごく普通の女の子たちであった。ただ、これまでの芸能経験の差からだとは思うが、演技力は目に見えてメンバー間の格差があった。ただし、観客の前で全力で熱意を伝える舞台度胸、プロ意識は誰一人として見劣りするメンバーはいなかった。

 

演技審査においては、劇中のワンシーンを天の声とのかけあいで演技するのだが、一度目は自分の思うように、二度目は同じシーンを特定のシチュエーション(天国か地獄か、炎天下か猛吹雪かなど)を選び再度披露する。ここでいかに迫真の演技をするか、はたまたどんな面白い仕掛けを用意するか、どんなアドリブを入れるかなどは各メンバーに委ねられており、オーディションにおいて最も重要と言える位置を占めていた。そして、幾度も第二幕へと出演していたメンバーは、決して人気投票などではなく、ここの見せ方が突出して上手いメンバーであった。もちろんそのようなメンバーにこそ人気が集中することは否めないが。

 

第二幕・「銀河鉄道の夜」

少し第二幕「銀河鉄道の夜」の演劇についても話しておきたい。もちろん原作はご存知宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」であるが、脚本・演出は徳尾浩司さん、欅坂46のドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」の脚本家でもあり、坂道グループとして馴染み深い方である。舞台冒頭に流れる宮沢賢治の名曲「星めぐりの歌」を聞くと、今も舞台のことを思い出す。舞台は夜がメインではあり、色鮮やかな照明に浮かび上がる流れゆく星空の舞台演出がとても美しかった。

3人のプリンシパルでは、以下の3役をオーディションで決定する。

  • ジョバンニ
  • カムパネルラ
  • サソリ

舞台「銀河鉄道の夜」は、銀河鉄道を巡るジョバンニとカムパネルラが、生と死について考え、本当の幸せとは何かを探す物語であり、そこに2人を導き、赤く燃えるサソリの物語が交差する。

 

登場人物やベースのストーリーはもちろん「銀河鉄道の夜」であるが、おそらく本当にやりたいことはそこでは無いように感じた。ストーリーの要所要所で挿入される乃木坂46楽曲がとても演出においても重要な意味を持っており、しかも「命は美しい」「僕がいる場所」「羽根の記憶」といったメッセージ性の強い曲がチョイスされていた。きっと、この乃木坂46楽曲の歌詞を自分なりに解釈しながら舞台上で表現することを3期生に課し、その題材として「銀河鉄道の夜」の世界観がうまく合致していたのではないかと思う。

しかもこれらの曲は紅白落選から再起をかけた乃木坂46の第2幕と称される2015年の楽曲であり、他の時期とは少し異質な空気感のある楽曲である。この2015年はちょうど16人のプリンシパルをとりやめ、上述の演劇プロジェクトをスタートさせた時期にも一致する。

 

乃木坂46にとっての2012年から2014年、自己表現としての16人のプリンシパルを第一幕のオーディションで追体験させ、この乃木坂46第2幕、2015年の楽曲を「銀河鉄道の夜」をモチーフとして舞台上で表現させる。そして2016年、実際に彼女たちは乃木坂46に加入する。

こうして乃木坂46としての彼女たちの空白の歴史を埋め、2017年からの新たな歴史を刻むメンバーの一員へと引き上げる意味が、この3人のプリンシパルにあったのではないかと思う。

 

そしてもう1つ、3人のプリンシパルにおいて忘れてはならないのが、"権之助坂53"の存在だ。これは「銀河鉄道の夜」の舞台における共演者、酒井敏也さん・大高洋夫さん・柿丸美智恵さんが名乗っていたユニット名である。この53には3人の平均年齢という意味がある (ちなみに一度権之助坂トークにななみんが登壇した際、平均年齢は多分46ぐらいということで一度だけ権之助坂46になった)。そしてキャッチフレーズを披露するのも毎回の恒例行事となっていた。

「1, 2, 3, 4, 権之助!うちらはゴロゴロ下り坂!権之助坂53!」

 

 

なんだこれは!

 

それはさておき、権之助坂53にはフリップまで用意する熱狂的なファンも多く、毎公演素晴らしい演技で3期生をサポートし、また寸劇から本番まで毎度趣向を凝らしたアドリブで会場を盛り上げ、解散がとても惜しまれたユニットである。

柿丸さんといえば乃木坂46の舞台で必ずといっていいほど出演されている方でもあり、もはや乃木坂46の公式お母さんなのではないかと思っている。大高さんについては、この3人のプリンシパルにおける影の功労者であることは言うまでもない。第一幕オーディションの天の声を担当されており、演技審査ではメンバーの相手役を務め、メンバーがアドリブで勝負してくる時も、毎度そのアドリブを殺すことなく絶妙なセリフ回しを披露し、その機転にただただ感服するばかりであった。

 

乃木坂46 3期生

ここでは「3人のプリンシパル」を通して、3期生12人について思ったことや、感じたことをまとめていきたいと思う。まずは3期生の簡単なプロフィールを(2017年現在)。

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  • 伊藤理々杏 (いとうりりあ / 沖縄県 / 2002.10.8 / 中2)
  • 岩本蓮加 (いわもとれんか / 東京都 / 2004.2.2 / 中1)
  • 梅澤美波 (うめざわみなみ / 神奈川県 / 1999.1.6 / 高3)
  • 大園桃子 (おおぞのももこ / 鹿児島県 / 1999.9.13 / 高2)
  • 久保史緒里 (くぼしおり / 宮城県 / 2001.7.14 / 中3)
  • 阪口珠美 (さかぐちたまみ / 東京都 / 2001.11.10 / 中3)
  • 佐藤楓 (さとうかえで / 愛知県 / 1998.3.23 / 大1)
  • 中村麗乃 (なかむられの / 東京都 / 2001.9.27 / 中3)
  • 向井葉月 (むかいはづき / 東京都 / 1999.8.23 / 高2)
  • 山下美月 (やましたみづき / 東京都 / 1999.7.26 / 高2)
  • 吉田綾乃クリスティー (よしだあやてぃー / 大分県 / 1995.9.6 / 元会社員)
  • 与田祐希 (よだゆうき / 福岡県 / 2000.5.5 / 高1)

 

各人への想いを書く前に少しだけ、今回のプリンシパルでは、二幕出演が数回以下で終わるメンバーが多かった中で、最多12回出演の久保と、11回出演の山下が、他のメンバーたちより頭いくつも抜きん出ており、すさまじいデッドヒートを繰り広げていたことを先に記しておいた方がいいだろう。これから何年も、宿命のライバルとして語り継がれるであろうこの二人の名前はよく覚えておいてほしい。

 

伊藤理々杏

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表現力が豊かで、体を張った演技に目を見張るものがあったのがりりあんだった。メジャーアイドルでも珍しい沖縄出身であり、元子役ということでやはり度胸は人より抜きん出ていたように思う。自己PRでは見事なバトントワリングを披露していたり、時にブリッジをしてすぐ息切れを起こしていた。ダンスも身体の使い方がしなやかで、ダンス審査で一番目についた。

しかし実際のところはまだまだおどけた中2であり、れんたんが少し大人びた印象もあることから最年少な雰囲気もある。乃木坂ファンの方に紹介しておくと、見た目が川後で声は星野といった感じだろうか。おそらくラジオでみなみとしゃべっているとどっちがどっちか分からなくなる自信がある。

選ばれない悔しさに顔を歪ませることも多かったが、次の日には見違えるような演技を披露して役を勝ち取るなど負けず嫌いな一面が強く出ていた。千穐楽、一番好きだと語るジョバンニ役に立候補した時、山下美月、これまで何度も負けてきた相手に対して逃げたいほど怖いけど、真っ向勝負を挑みたいと熱く語った姿がとても印象的だった。結局負けてしまったが、その悔しさはいつまでも忘れないでほしい。掛け合いの演技では自分が自分がとなってしまいテンポを崩しがちだったので、舞台における協調と共創を勉強していけば大いに演技方面での活躍が期待できると思った。

 

岩本蓮加

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れんたんはとにかく底抜けに明るい。現在の乃木坂46の最年少であり、プリンシパル初日に13才の誕生日を迎えた。片手で軽々と側転をしてみせる身体能力の高さを持ち合わせており、在りし日のねねころを彷彿とさせるアクロバット少女だ。

このプリンシパルは本当に苦労の連続であった。ずっとジョバンニに立候補を続けていたがなかなか選ばれることはなく、毎日自分はどうしたらいいのかと自問し、いつも明るいれんたんの顔が曇る日も増えていった。最初は棒立ちで演技審査に臨むことも多く、後ろまでいっぱいの客席へのアピールとしてはいまいちインパクトに欠けていた。少しずつ少しずつ着実に成長し、なんと最終日にジョバンニに1つ星をつけることができた。

いまいち全力で頑張っている必死さを外に出すのが苦手というのが、いい面でもあるし、またアイドルとしては悪い面なのかもしれない。しかしその持ち前の明るさは、3期生、ひいては乃木坂46に不可欠な存在でもある。少し大人びた、落ち着いた印象の3期制服がよく似合っているので、5年後10年後、きっとキレイなお姉さんへと成長する姿を見ていたいものだ。

梅澤美波

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3期生最後までこの12人でという気持ちはあったが、最後の最後にインフルエンザで無念の欠場となった梅澤美波のことは、きっと本人が一番悔しいだろうし、僕もとても悔しい。

最初から最後までとても苦戦していた。ジョバンニ役を一度勝ち取ったものの、後がなかなか続かなかった。しかし、日を追うごとに熱心にオーディションに打ち込んでいく姿は心を揺さぶるものがあった。お披露目やお見立て会の時も発言はネガティブで、170ある身長のこともコンプレックスに感じていて、ダンス中も無表情で固い印象を与えていた。しかし、プリンシパルで表情豊かにパフォーマンスしている姿や、どんどん強い気持ちを前に出していく姿がとても印象的で、あと少しで、もう一度二幕に立てるだろうという確信に近いものがあった。だからこそ、無念の途中退場がとても悔しかった。

しかし、高身長に抜群のスタイルと乃木坂46で人気になる要素は文句無し、しかも飛鳥や2期生主力と同じ98年組と、3期生のみならずいきなり乃木坂46の次世代の筆頭として活躍することが約束されているので、いつかこんな大変なこともあったと笑える時が来てほしいものだ。

 

大園桃子

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桃子は本当に今までのどんなアイドルとも比較できない、とんでもないポテンシャルを秘めたアイドルだ。正直、すぐ泣くし、とんでもない鹿児島なまりだし、発言もぶっ飛んでるし、ブログ適当だし、これまで面白半分だったのは確かだけど、誰かを演じるとなった瞬間まるで別の人格が乗り移ったような演技をする姿を見て、顎が外れるかと思った。

悔しいことにしゃべってるだけで面白いし、何が面白いって全てが面白い。申し訳ないのだけど、これ以上は僕の語彙力では限界がある。そして3期生(主に葉月)にやたら毒舌なところもいい。とりあえずなぜか持ちネタと化した胸を叩きながらボンボンボンボン言うだけのゴリラの真似と、直立でやたら腕が広がるももこスタイルをまた見たいものだ。

桃子のプリンシパル千穐楽、最後の言葉をよく覚えている。緊張ではもう泣きませんでした、と。桃子にとっての3人のプリンシパルはカムパネルラを1度やったきりだ。最後もカムパネルラに立候補し、久保史緒里の名前が呼ばれた時、あんな泣いていた桃子を見たのはこのプリンシパルで初めてだったかもしれない。もう泣きませんと宣言して強い気持ちで臨んだ3人のプリンシパルで、ずっと頑張って涙をひたすらにこらえたけど、それでも止めることができなくて言葉に詰まる日が何度もあった。それは決してこれまでのように緊張からくるものではなく、悔しさから自然に溢れた涙だった。これからもその涙はもっと流せばいい。もっと強くなればいい。そしていつか乃木坂46というステージで輝く桃子の姿が見てみたい。

 

久保史緒里

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3期生も、ファンすらも認めるミス・カムパネルラにして、3人のプリンシパルで最多二幕出場を成し遂げた怪物ルーキー。ほんの半年前まで宮城で普通の中学生をしていたとは本当の本当に信じられません…。

多分、面白いネタでも演技でもどんなことでも全力でなりきって、やりきってしまうところが他の誰より優れているのだろうと思う。そこに発想の豊かさ、頭の回転の速さが加わり、久保史緒里を久保史緒里たらしめているではないかと、畏敬の念を込めて。ふと気づいて観察してみると、自己PRと演技審査で唯一上手と下手を全て使いアピールしていたのが久保ちゃんだった。審査するのが観客だと理解し、全員に自分をアピールすることが有効だと見抜いたのだろう。この勘所の良さが、これからアイドルとして成功する強みであることは間違いない。山下美月が直接対決を仕掛けてきた時も、勝敗ではなく自分は自分のやりたい役、カムパネルラをやるだけだと一人だけ別次元の闘いへといち早く昇華してしまった。

これまでの印象は謙虚で真面目でアイドル優等生の鑑のような存在だと思っていたのだけど、それだけではなく芯の強さまで持ち合わせている。謙虚さとはただ自分を卑下することではなく、相手に敬意を払うことこそがその本質で、それは時に相手を全力で打ち負かし、それでいて傲らないことなのではないかと考えさせられた。年少組として3期生のムードメーカー的立ち位置まで確立しているようで、末恐ろしい中学生だ。

阪口珠美

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もしMVPを決められるとしたら、たまちゃんに投票していただろうと思う。初日にサソリ役単独立候補の幸運により役を獲得するも、自分の好きな役だからと、それには納得せず選ばれてサソリ役になりたいと最多立候補を重ねた。しかし、なかなか周りのメンバーたちを打ち倒すことが出来ず、気付けばやっと投票でサソリ役を勝ち取った時には残り3日となっていた。

千穐楽前日の土曜日、これまでのサイクルをあえて外してライバルの久保とサソリ役をかけて直接対決を仕掛けたのが山下だった。ほぼ負けなしの山下・久保の戦いになると分かり他のメンバーはあえてサソリ役の立候補を避けたにも関わらず、たまちゃんはなんとこの勝負に名乗り出た。そして、この三つ巴の戦い、これまでの10戦でたった2敗の久保と山下の2人に同時に土をつけ、サソリ役を勝ち取ったのだ。まさにサソリに愛された、さそり座の女。自ら苦しい戦いに飛び込み、あれだけ苦戦した大好きなサソリ役で大金星をあげたたまちゃんにとって、大きな自信につながったと思う。

たまちゃんは本人も自虐的に語っていたが、とにかく音程がすぐ行方不明になる。真夏のようなビジネス()ではなく、本人は全力でも、行ったきり帰ってこない。自己PRではダンスを踊ることが多かったが、それを逆手に取り、観客に歌わせるという飛び道具に打って出るところ、嫌いじゃない。

佐藤楓

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初日から見違えるほど成長したメンバーを選ぶとしたら、迷わず佐藤楓の名前をあげるだろう。本当に最初は他のメンバーたちが自己PRから圧倒的な個性を発揮する中で、いまいち演技もパッとせず、印象に残らないメンバーであったのが正直なところ。

しかしある時から自己PRの身近な人のモノマネやあるあるネタ、葉月いじりと確実に笑いのツボをおさえ、観客のハートをつかむのがうまくなっていった。そして演技にもその日その日で自分なりのアレンジを大きくつけるようになり、その努力が目につくようになった。演技にも熱がこもるようになり、発する言葉一つ一つからも前向きな気持ちが強くなっていくのを感じた。ここでも、初日とは比べ物にならないほどに、確実に観客を惹き付ける力のようなものを身に付けていったように思う。たとえ選ばれなくてもこの努力は確実に次に繋がるだろうと思っていたが、残り3公演、終盤になってやっとジョバンニ役を勝ち取ったことは、この急激な成長を見るにつけ納得の結果であった。

 

中村麗乃

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れのちゃんについては、元ミスiDという肩書きに、少し色眼鏡を通して見ていたことを先に反省しておかなくてはならない。ただ、自己PRは不思議ちゃんで、テンパりすぎて慌てる姿は見ているこっちまで不安になってくるのは予想通りなところであった。エチュードのようなアドリブが求められる場では、なかなか自分を出せずにその場に立ちすくみ何も出来なくなって泣いてしまうことまであった。しかし、演技となった途端に、まるで人格が入れ変わったように感情豊かな女優へと変貌するすさまじいギャップに、そうとは分かってきた後半戦でも、何度見ても驚きを隠せなかった。

無表情でなかなか感情が読み取れないキャラのように見えたが、実際は舞台上で何も出来ない自分への悔しさを毎日のように滲ませていた。最後までどうしてもエチュードでは立ちすくんでしまっていたが、そのマイナスを一瞬で忘れさせるほどの圧巻の演技は納得の千穐楽サソリ役の抜擢であった。名前が呼ばれた瞬間に、悔しさではなく、信じられないほどの嬉しさに泣き崩れていたのもとても思い出深い出来事だった。少しセリフに熱が入りすぎて金切り声になることも多くまだまだなところもあったが、ぜひまた舞台女優としての中村麗乃を見せてほしい。

 

向井葉月

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言わずと知れたといいますか、3期生で確固たるネタキャラの地位を確立しているのが向井葉月その人であります。ぽっちゃり、走り方が独特、いつも何か食べてる、3期生全員だけでなく共演者にすらこれでもかとイジられる、本人はさらにそれを打ち返してネタをぶち込んでくると、それでいてあの愛され体質は天性の才能と言わざるをえない。

「3人のプリンシパルが始まる時、痩せると宣言していましたが、(太りすぎて)ジョバンニの衣装は今日しか入りません!私にやらせてください!」と真面目な顔で宣言しだした時は、笑いすぎて涙が出てきた。

ネタキャラがあまりにも先行してはいるものの、演技となると一変してよく通るハイトーンボイスで客席を魅了する。さらにはギターの弾き語りもできると多芸な一面まであわせ持つという、向井葉月というキャラだけでお腹いっぱいになってしまう。彼女にはぜひこのままでいて、バナナマンや1期生、2期生といった芸能界の先輩が、その魅力を存分に引き出してあげてほしい。

毎公演の観客投票で決まる一番頑張っていたと思うメンバーに送られる敢闘賞をなんと10回も獲得し、ミス敢闘賞の名をほしいままにしていた。そしてミス敢闘賞には、目録としてスタッフから焼肉のお食事券が送られ、この3人のプリンシパル、最後の最後まで皆に愛される向井葉月であった。

 

山下美月

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山下美月という存在はこれまでのステージやテレビ出演からにじみ出るオーラで完璧超人なのかと思われていたが、この3人のプリンシパルではそうではない、新たな一面を見れたことが大きな発見でもあった。

二幕11回出演という驚きの結果も、有無を言わさぬ実力がづっきーにはあった。即興劇のエチュードでは圧倒的なアドリブ力で、どんどん場を巻き込んで自分のペースへ持ち込んだ上で笑いを一気にかっさらうところはもはや玄人の域である。圧倒的な演技力もさることながら、毎公演工夫をこらしたシチュエーション演技の審査でも観客をうならせていた。ここまで書くとやはり向かうところ敵なしのように見えるが、二幕最多12回出演の久保の二番目につける結果に終わったことが彼女のリアルでもあった。

その敗北も、結果にこだわるあまり猪突猛進なところが災いし、それは彼女のいいところであり、悪いところだったのだと思う。久保とは一勝一敗のまま自らサソリ役審査で直接対決を仕掛けたものの、当の久保は自分は勝ち負けや三役をやることよりただカムパネルラをやりたいだけだと一足先のステージに行ってしまいホゾを噛むことになった。そこから山下も自分はこのステージをただ楽しむことが一番なのだと悟り、千穐楽でもジョバンニという大役を勝ち取ることになる。

勝ちがかさむと油断してしまうところもある、負けたときは誰よりも悔しがりステージで泣き崩れるものの、次の日すぐに立ち直り鬼気迫る演技で役を勝ち取る。部活でもずっと補欠で、決して完璧ではなかった山下の持つ天賦の才は努力することそのものなのだろう。女房役ミスカムパネルラの久保との強力なタッグは、これからの乃木坂46を象徴する存在となるだろう。

 

吉田綾乃クリスティー

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あやてぃーの柔和な雰囲気や年下のメンバーたちから親しみをもっていじられるところは、3期生における理想的な最年長の姿だ。

唯一二幕に出ることが出来なかったあやてぃーだが、決してその演技が劣っていたかというとそんなことはない。包容力のある優しい演技をするのが特徴で、メンバーの中で一番掛け合いを意識して演技審査に臨んでいるところが、これは二幕での演技もきっと面白いものを見せてくれるだろうという期待が強かった。ただ他の年少メンバーのような必死さを伝えるのが苦手で、観客に強い印象を残すことが出来なかった。

強く記憶に残っているのは彼女の歌声だ。「きっかけ」の2番の歌詞に強く背中を押されたとワンフレーズ披露したのだが、決して技巧的な上手さは無いが、その優しく澄んだ歌声はずっと聴いていたくなる心地良さがあった。ふと同郷の衛藤さんを彷彿とさせるその美しい歌声は、もっと沢山の人に聴いてほしくなった。

千穐楽、自分は二幕に出れなかったけど楽しむという目標は達成できたと明るく語った彼女だったが、最後にはその悔しさに涙を止めることが出来なかった。スタートはこれから。この悔しさをバネに、自分らしさを乃木坂46で見つけてほしい。強く望めば誰でも何にでもなれるのが乃木坂46の一番の良さであるから。

与田祐希

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話題では向井のインパクトに押されがちだが、与田ちゃんこそ3期生におけるコメディエンヌとして頭角を表していたように思う。持ちギャグの「ちっちゃいけど色気はあるとよ!」を軸に、その頭の回転の速さから、笑われるのではなく自分から笑わせにいく才能は抜群だった。

きっとプリンシパルtroisでコメディに挑戦していたら、頭のキレと舞台度胸で無双をしていた若月のように、機転のきいたアドリブで舞台を盛り上げることで大いに話題になっていただろう。しかし総合力を試されるこのプリンシパルでは、大いに苦戦し、苦悩の毎日だった。しかしこれからは、そのよく通る声とルックスと持ち前の度胸で、アイドルとしてこれからどんどん魅力的に成長していくのだろう。

 

最後に

12月にあった3期生お見立て会を見たとき、きっとこのメンバーたちは面白いことをやってくれそうだという期待があった。しかし、この「3人のプリンシパル」はその期待を遥かに上回るものだったと言わざるをえない。

今までベールに包まれていた3期生のパーソナリティーやお互いの関係性、加入からこの短期間に育まれた絆を垣間見ることができ、そして何よりこの11日連続公演を通して大きく成長する姿を見れたことが何よりの収穫であった。

 

ずっと緊張の張り詰めた公演だったかというとそういうわけでもなく、3期生同士、お互いの演技に真剣に見入り、体を張った自己PRや即興劇では笑いあい、時にふざけあい、3期生の皆がこの公演を楽しもうとしていたのが伝わってきた。乃木坂46という一大アイドルグループの新メンバーになるという大きな課題を前に、3期生全員がとても仲睦まじく、同時に強く結束していることが客席にいても伝わってくる。しかし舞台の上では常にライバルであり、お互い決して手を抜かずに全力で相手とぶつかり合おうとする姿とのギャップには、思考が追いつかないほどだった。

 

がむしゃらに毎日オーディションに打ち込んでいる姿は本当に感動的で、なんとしても役を勝ち取りたいと皆が必死に取り組んでいた。最初はライバルから役を勝ち取ること、3つの役全てに選ばれること、結果だけを追い求めていたように見えた。しかし舞台が終盤に差し掛かり、ふと自分たちが全力で駆け抜けたこの「3人のプリンシパル」の意味について考えるメンバーが多くなっていた。

どうやったら昨日の自分より成長できるだろうか、観客にこの子面白い、投票したいと思ってもらえるだろうか。しかし立ち止まる時間は与えてもらえない。日々変化する演技審査の課題に対して、自分は、どの役でどう自分をアピールすればいいのだろうか。毎日毎日ひたすら悩みに悩み、そしてそれを次の日の舞台にぶつけていかなくてはならない。

そこに見出した答えは、毎日努力を重ねた過程、昨日の自分の打ち勝つことで得た自信こそが、この「3人のプリンシパル」の意味だったのだと。そう口々に語るメンバーを見て、この舞台を通してこんなにも成長した3期生を見て、何より驚いたのは他でもないこの試練を用意した大人たちだったのではないだろうか。

 

この15公演の3人のプリンシパルを走り抜けた時、やっとこの12人は乃木坂46のメンバーとして迎えられたのだと思った。公式サイトでも、この舞台を終えた後に3期生12人の名前が乃木坂46のメンバーとして追加された。この舞台を終えるとついに乃木坂46の先輩たちと同じ舞台に立つことになる。しかし、こんなにも大きな試練を乗り越え、立派に成長した3期生はもう何も物怖じする必要などないだろう。

千穐楽の第三幕、3期生によるミニライブを終えたとき、示し合わせたように3期生にとって初めてのアンコールが客席から巻き起こった。3期生に初めて向けられた "乃木坂46" の唱和を聞いたとき、ファンからもこの3期生を乃木坂46のメンバーとして迎え入れるような、そんな象徴的な出来事のようでとても感慨深いものがあった。そして、どうしたらいいか分からないのでと、アイドルの舞台を一本締めでまとめた山下美月のことはこれからも語り継がれるだろう。

 

始まりはいつだって、そう何かが終わること。これから立ち向かうアイドルの世界は、この3人のプリンシパルとは比較にならないほどの努力が求められ、きっとつらいことも多いだろう。しかし、それ以上に得られること、嬉しいこと、楽しいこともいっぱいあると思う。どこかで誰かが挫けそうになっても、この12人の運命共同体とともに支え合い、お互いこれからもよきライバルであり続け、そして最高の仲間であり続けてほしい。

 

 

さて、傍観者はまた傍観者として、彼女たちの成長を見守ることにします。気が向いたら他の記事でも読んでやってください。

(も・ω・ち) 

銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)

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